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大阪高等裁判所 昭和50年(ネ)1073号 判決 1976年7月09日

控訴人

平野政雄

被控訴人

右代表者法務大臣

稲葉修

右指定代理人

納井淳久

外二名

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実《省略》

理由

当裁判所の判断は、次に附加訂正するほか原判決理由と同一であるから、ここにこれを引用する。

原判決一二枚目表一〇行目の「原告主張の日以降」を削除し、一二枚目裏二、三行目の「一ないし」を「三」と改め、一三枚目表四行目から一一行目までを次のとおり改める。

控訴人は、「没収物の国庫帰属の効力は、没収の判決の確定と同時に発生せず(反対の解釈は憲法三一条に違反する)、検察官の命令による執行により発生する。本件没収物につき、右執行がなされていないから、控訴人の売却は、国の所有権を侵害しない。」と主張する。

しかし、没収物の国庫帰属の効力は、没収物が押収されているか否か及び没収物の種類(動産、株券等)を問わず、検察官の命令による執行をまたず、没収の判決確定と同時に発生すると解するのが相当である。けだし、没収は、特定物の所有権(株券没収の効力は株券に表彰される株主権に及ぶ)を原権利者から剥奪し、これを国庫に帰属せしめる処分であり、没収の判決の執行に関する刑訴法四九〇条ないし四九二条の規定は、押収されていない物を没収した場合に国が取得する没収物引渡請求権についての執行に関する規定であると解すべきである(商法二〇五条一項所定の株券の交付を、株券没収の効力発生要件とすべき理由はない)からである。控訴人の主張は採用できない。

原判決一三枚目裏二、三行目の「弁論の全趣旨」を「甲第二七号証」と改め、同三行目の「湊友幸」から同五行目の「点を除き、」までを削除し 同七行目から一四枚目裏一二行目までを「右事実によれば、控訴人は被控訴人から金三八万四九一三円を騙取しこれと同金額相当の損害を被控訴人に与えたものである。右認定は、湊友幸の罪につき時効が完成したと否とにより、又 甲第二七号証により左右されない(甲第二七号証につき、原判決一三枚目裏一一行目の「前記」から同一四枚目表九行目の「認められる。」までを引用する。)。」と、<以下 省略>

従つて、原判決は正当で本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし、民訴法九五条、八九条を適用して主文のとおり判決する。

(小西勝 入江教夫 和田功)

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